膵臓がんの治療法と合併症・管理 [ガン]
膵臓癌は、他の癌と比べて発見が困難で
見つかった時点ではすでに手遅れの状態が多い
やっかいな癌だということは、前回復習しまた。
前回の記事:すい臓癌 症状 初期〜末期の生存率は
次は、膵臓がんの具体的な治療法についてまとめおきます。
◆ 膵臓がんの摘出手術
膵臓がんの手術は進行度合いによって
いくつかの方法があります。
発症数の多い部位から術式をみていきます。
<膵頭部のがん>
・膵頭十二指腸切除術あるいは、全胃温存膵頭十二指腸切除術
膵臓の頭部、十二指腸全部、胃の一部、胆のう、胆管を取り除き、
残った膵臓を小腸につないで膵液が小腸に流れ込むようにする。
<膵体部・膵尾部のがん>
・尾側膵切除術
膵体部・膵尾部に併せ、脾臓も摘出。
膵頭部が残るので、膵液は十二指腸にそのまま流すことができる。
摘出術としては胃や十二指腸、胆管などを切除しないため、臓器再建もなく
リスクの低い術式。
<膵臓全体のがん>
・膵全摘出術
膵臓だけでなく、周囲にある胃や十二指腸、胆管、胆のう、
脾臓、リンパ節なども全摘出しなければならない。
膵臓を全て失うため、消化酵素やホルモンの分泌ができないため
術語は消化酵素やインスリンの注射が必要になる。
<その他>
すいぞう癌が進行すると、がん細胞が胆管や消化管を圧迫して
閉塞性黄疸や消化管閉塞を引き起こすことがあり、その場合は
胆管と小腸、胃と小腸、小腸と小腸をつなぐバイパス手術を行われる
ことがある。
これにより、黄疸が改善したり、食事が摂れるようになったりする。
◆ 術後の合併症
膵液瘻・・・膵臓内の主膵管と空腸の結合部から膵液が漏れ出て出血を誘発
縫合不全・・・各臓器のつなぎ目から消化液が漏れ出て炎症を起こす
胃排泄遅延・消化不良・・・胃の切除により食べ物や胃液が長時間滞留する状態
腹腔内出血・・・前述の縫合不全による漏液や膿瘍で血管がダメージを受け出血する
膵臓の摘出術は、ガンの部位にもよりますが、膵臓だけでなく周囲の臓器も切除する
可能性が高くなります。
切除された臓器の再建術や新たなバイパスを作る過程で
合併症として最も注意を要する縫合不全による出血状態は、
ドレナージにより体外に漏液を排液することで術後管理されます。
しかし、ドレナージがうまく機能せず、体内で出血が起きる場合は、
再手術によってドレーンを設置しなす必要があります。
すい臓がん 症状 初期〜末期の生存率は [ガン]
元横綱・千代の富士、九重親方が先日、膵癌が亡くなられました。
小柄な体で圧倒的な力と技術を兼ね添えた存在で、
私自身も幼少の頃は、テレビに映るその勇姿を鮮明に覚えており、
衝撃を受けております。
今日は九重親方が患っていたすい癌について復習を兼ねて学びたいと思います。
九重親方は、膵臓癌になったものの手術を受け、一度は職務に復帰していました。
しかし、後になってすい癌が転移していたことが判明し、亡くなられました。
まずは膵臓の解剖生理、機能についておさらい・・・
・膵臓は胃の後ろのある長さ20センチほどの細長い臓器
上図で示されているふくらんでいる頭部という部分は十二指腸に囲まれており、
逆にへこんでいる尾部は、脾臓に接している。
機能
・膵液を産生し、食物の消化をする
・インスリンやグルカゴンを分泌し、血糖値を調節する
疫学・統計
・膵臓がんは罹患率は60歳頃から増加して高齢になるほど高くなる
・罹患率・死亡率は女性より男性の方が高く約1.6倍
・再発率が極めて高く、5年生存率は10〜20%とかなり低い
膵臓がんの各ステージによる5年生存率は下記